行ったことが無いので正確なことは分からないのだが、テレビで見学の入場者数を本日は満員だといっている時でも、たしか六万人とかいう辺りの数字であった。

日本でも北海道辺りに建設すれば、かなりな大きさの基地が出来たであろうが、冬の気候が邪魔をして、それを許さない。

確かに地理的な条件の差があるのは、いたしかた無いが、それにしても、このフロリダの基地は巨大である。

三人が、この広さだと、日本で最も狭い香川県よりも広いのじゃないかとか、いや、そこまでは無いだろうとか、話していると、横に並んでいる人たちの列の少し後方から声がして、声のする方向へ振り向いた直の視線が固まった。

一瞬、間を置いて直が
「え~、まさかぁ・・・」と発した。

その直の視線の先には、スティーブとエリサが、こちらに向かって声を掛けてきている姿があった。

スティーブは直の友人であり、エリサはスティーブの恋人である。二人はサンフランシスコに住んでいる。

なぜ直が二人を知っているのかといえば、直は大学生の時に交換留学生としてサンフランシスコにある州立大学に一年間来ていたことがあり、その時に一年先輩であったスティーブと仲良くなったのである。

彼やエリサや、二人の友達であったアンジェロやモニカなどとテーマパークや食事など、あちこちに、よく遊びに行ったものだった。

直はサンフランシスコが、とても気に入り、できれば長く住んでみたいと思っていた。気候は十一月頃のインディアンサマーと呼ばれ、やや暑くなる時季を除けば快適で、何よりも街や周辺の風景も美しい。