理絵も「うん」と頷いて

「行ってみたい、来年は見に来ようよ」

と由紀に言い、来年は、つつじの森を見に来る約束をした。

歩いて行くうちに道の駅の標識が目に入ってきた。その標識の先に車が数十台止まっている。どうやら、そこが道の駅のようである。

睡眠不足と暑いのと疲れもあり、中に入って休息を取ることにした。

中に入ると、店に色々な土産物が並んでいたが、その内の藍染を、たくさん揃えて置いてあるコーナーが目に止まった。

徳島は遥か昔、藍の大産地であった。

ここから西へ十七、八キロ行った所にある脇町には、今も藍で繁栄していた頃の町並みや豪商の屋敷跡が保存されている。

徳島の昔の地名であった阿波も、藍が語源であるという説があるほど大産地だったのだ。

二人は、並べてある藍染の製品を見ながら、何か記念に買おうかと相談した。

色んな物があり迷ったが、結局、ハンカチを買うことにし、直や勇太が無事に帰ってくることを信じて全部で四枚買った。

九番法輪寺の、お参りを済ませて、予約を入れておいた宿に向かう。

二人とも、ずいぶん疲れていたので宿に到着し、部屋に入ったとたん横になって休むと、あっという間に、うとうとと、し始めたかと思うと、そのまま眠ってしまった。

夕食の用意が整っているのを、宿の人が知らせに来て目を覚ますと、辺りは、もう薄暗くなっている。何時になっているのだろうかと思い、由紀が時計を探そうとしたところへ理絵が声を掛けてきて

「お母さんも寝てしまってたの。あぁ、お腹が空いた。ごはん食べに行こうか」
と言って立ち上がった。