李が語り始める。

「みなさん、我々の核ミサイルによる小惑星群破壊は不成功に終わりました」

数秒間、沈黙が続く。

報道関係者たちは、前夜、速報の発表が遅れ、待たされた挙句に結局は中止となり、速報は出されなかった。その後、世界中の報道機関に、小惑星群破壊に関しての報道協力を求められて、世界の市民を不安に陥れない為という理由で、協力してきた。

報道関係者たち全員が、これまでにない異常な事態であり、どの程度かは分からないまでも、破壊は不成功に終わったのであろうことは少なからず感じていたのだが、実際に総長の口から聞くと、それなりのショックがあったようで、会場の雰囲気は非常に重くて暗く、静かであった。

李は続けて

「部分的な失敗ではなく、完全なる失敗に終わり、小惑星群は依然として、これまでの状態と変わらずに飛来しております」

李は厳しい表情で聞いている記者団を見回して

「しかし、今回、破壊が不成功に終わったからといって、何も悲観する必要はありません。我々は小惑星群を撃滅する手段を、まだまだ有しており、破壊は可能であります。その為の行動は、すでに開始してあり、着々と準備は整いつつあります」

「決して、我々の住む地球に大災害が及ばぬように、最善を尽くしており、ご安心下さい。世界中のどこにも被害がでないように。出たとしても最小限の被害に、とどめれるように対処しております」

記者たちは、じっと聞いている。