二人は、それを読み、ちょうど昼時で、お腹が空いてきていたこともあり

「おいしそう、よだれが出そうになりそう」

と言って、入店するなり即

「鰹のたたき定食、二人前お願い」
と注文した。

そういえば、お婆ちゃんたちも電話で、高知で鰹のたたき料理を食べると言っていたことを思い出して、いつ食べに行ったのかなぁと話していると、土産物屋でも覗いてから来たのか、先ほど追い抜かれた、年配の男女五人組が入店してきた。

由紀たちに、ちょっと会釈して隣のテーブルに座ると、全員が二人が注文したのと同じ、鰹のたたき定食を注文した。

五人が話しているのを隣の席で座っていると聞こえてきて、どうやら今回は五日間で、二十三番から二十六番まで巡って帰るようだ。

話が聞こえた由紀が

「たった、よっつのお寺を巡るだけで帰るのですか」

と訊ねると、五人は、いつも三日から五日間の日程で、回れる数の札所巡りを、年に二度しているのだと教えてくれた。

多い時は十ヶ寺くらい、回れるのだが、少ない時は二ヶ寺だけのこともあるそうだ。

どうやら、そういう巡り方を区切り打ちと、いうのらしいのだが、由紀と理絵は、そういう風な方法で札所巡りをしている人たちもいるのだと知った。

レストランを出て土産物屋に入ってみると、亀の形をした饅頭や羊羹、ういろう、最中、パンなどがあり、キーホルダーや置物など亀づくしである。

「かわいいけど・・・ここまで亀さんばかりだとはねえ・・・」

二人は顔を見合わせた。

外に出ると、雨はそれほど強くは無いが、本降りになってきている。