「我が国は多数の宇宙船を打ち上げており、現在、宇宙空間に存在しています。また月面基地や火星入植地にも多数の人が生活しております。その事を考えますと、確かに危険回避の行動は早く取るべきだと思いますが、慎重にならざるを得ません。地球へ、どの程度接近するのか、まだ分からない現時点では、慎重に判断をするべきだと考えます」

この意見に中国も、すぐに同意した。

その後、双方の意見が交錯したが、李が小惑星群破壊の検討に賛成する国の挙手を求めたところ、結局、五十カ国程度が検討をすることに賛成したが、十カ国程度は慎重意見であり、残りの国は判断に迷い態度を保留した。

地球連合安全保障会議は、世界中から七十の国と地域が公平に選ばれている。

世界の安定と安心、また環境問題に対する取り組み、宇宙開発や平和への貢献度など、さまざまな角度から考慮され、そのポイントの高い上位二十カ国と、世界中の地域から満遍なく選挙で選ばれた五十カ国と地域からなっている。

その七十カ国と地域は四年毎に入れ替えがあり、すべての国と地域が、これを承認している。

その安全保障会議で、提案を決議するには六十カ国以上の同意が必要であり、採択に掛けるには提案書の提出が義務付けられている。

しかし今回は提案書が出されていない上、賛成の数も足りない。

そこで協議をして、明日の会議の冒頭に、それまでに集まっている情報の経過説明を行なった後、イギリスが提案書を提出し、採決を執り行うことになった。

会議は、午後一時から開始することに決まり、本日は閉会となった。

午後六時を少し回ったところであった。