「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

「ミサイルは地球と月面基地の、合わせて十三発をすべて発射して破壊する計画であります」

「残された時間が限られておりますので、すでに発射の準備は整えつつあり、発射命令があれば、明日の午前六時には、すべての発射が可能になるように準備を進めております」

「自己追尾型でありますので、発射翌日に予定されている探査機の観測結果により、地球からミサイルの軌道の微調整を行った後は、自らの判断で各目標に、確実に命中できるであろうと考えております」

「破壊予定日時は、明日の午前六時発射と仮定して、発射の七日後、つまり小惑星群の地球到達予定までに二日半前後を残した辺りになると考えられます」

「以上が我々が検討した最善の方策であります」

補佐官からの報告が終了して、李が発言する。

「ただいま終了した補佐官からの、小惑星群破壊の方法についての異論、意見のある方は、ご発言願います」

議場には、誰も意見を述べようとする者もでず、全員が物音ひとつ立てずに静まり、ただじっと李を見つめている。

「意見はございませんか」

再度、訊ねたが、議場は静まりかえったままである。

「皆さん、私たち人類は、未だかつて無い危機に直面しております。一刻も早く決断を下さなければなりません」

「核ミサイルを使用して破壊する場合に、多少の被害が予想される事に躊躇してはなりません。ここに揃う皆様の決断を期待しております」

「では、採決を執り行ないます」