「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

しかし、たまには民族的な紛争や領土的な争いが発生するが、それらのほとんどは地球連合の裁判所において処理される。

ごくまれに、過去の武器を隠し持っている民族や、裁判に不服従の国、またゲリラ的な活動をする民族などにより、戦闘が起きる事があるので、通常兵器は存在している。

ただし一国で他国を侵略可能な装備の通常兵器を保有している国は無い。

あくまでも地球連合による、平和維持のための軍隊であり、世界の各地域に分散されて配備されている。

核ミサイルのほとんどは、以上のような理由で破棄されたのだが、今回のように小惑星が地球や月に接近して危険がある場合や、大型の宇宙衛星とか宇宙船が、事故などにより他のステーションや宇宙衛星などに危険を及ぼしたり、地球へ落下してきて危険を及ぼす可能性がある場合の、破壊用としてのみ残されている。

地球に配備されている二十発の核ミサイルは、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ロシア、オーストラリア、など二十カ国に分散されて配備されている。

その上、発射に際しては、各国の元首と平和維持軍の長官が別々に発射ボタンを押し、さらに最終的に事務総長が発射ボタンを押さなければ発射できないように三重のチェックシステムになっている。

ただし現在までに実際に使用された実績は無い。

議場の全員が、静かに聴いている中、補佐官が言葉を続ける。

「そのうちの地球の十発と月面基地の三発は、自己追尾型であり、地球の残りの十発は時限式であります。時限式のミサイルは軌道を逸らせる場合などには有効でありますが、今回は破壊を目的としておりますので、自己追尾型を使用致します」