「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

「まず軌道を外す方法ですが、小惑星群が、どのくらいの規模の群集であるかの確認が現在も取れておりません。その個数ならびに、どの程度の範囲に広がっているかが、全然、判明しておりません」

「二日後の探査機による調査結果が出れば、およその事が判明し、それからであれば、軌道を外す方法も検討可能でしょうが、それでは遅すぎて間に合わなくなるのではないかと判断致しました。よりまして、軌道を外す方法の検討は打ち切り、破壊の方法のみの検討を致しました」

「どうぞ、ご了承下さい」

「最初に申し上げておきますが、小惑星群を破壊する事により、月面基地や地球、ならびにステーションや航行中の宇宙船など、広範囲に破片などによる影響が出る可能性があります」

「破壊の影響が、どれだけの数の弾頭の使用により、どの程度の影響がでるかのシミュレーションを行ないましたが、弾頭の数には関係なく、それなりの影響がでる可能性は承知しておかねばなりません。細かい被害予測は困難でありますが、多少の被害が出る可能性は覚悟しておく必要があります」

「現在、我々は地球上に二十発、月面基地に三発の核ミサイルを配備しております。それらは、あくまでも今回のようなケースを想定したものであります」

昔は、大国が核ミサイルを戦争の抑止力として、地球上を何度も破壊できる破滅的な数を保有していたが、現在は単独の国で核ミサイルを複数以上保有している国は無くなっている。

世界は緩やかな連合国家として機能していて、破滅的な数の核ミサイルは、もう地球上では必要の無いものになっている。