李にとっては初耳であり驚き、いったい、いつ癌であるのが判明したのかを訊ねた。

彼の話によると、二日前に検査をして見つかったのだが、以前から体調が優れないのを我慢していたらしく、けっこう進行しているらしい。

手術を行なうことは、今日の夕方、発表して国民に知らせる予定だと言った。

食事を終えて、ジェラルディーンは副大統領が手術をする件は、夕方の発表が終わるまでは誰にも話さないように、李にお願いをして、二人は

「ではまた、二時からの会議でお会いしましょう」

と言って別々に出て行った。

午後二時、会議場

全員が揃う中、科学者が進み出て、報告を開始した。

「本日の午前中までの観測結果と計算による、今後の軌道予測と地球付近への到達日時を、ただいまより、ご報告申し上げます」

「まず軌道予測でありますが、現在のコースを維持すると、地球に、かなり接近します。場合によっては衝突の危険性もあり、地球との衝突の確率は三十パーセント以上あるのではないかと考えられます」

議場が少々ざわめいたが、すぐに静まり次の言葉を待つ。

「次に地球への到達日時ですが、観測の結果からは今も徐々に速度が増していて、最も地球に近づくのは今日から十一日後で、誤差はプラス、マイナス一日でありますが、速度の増減によっては、もう少し早くなったり、遅くなったりする可能性もあります」

「前回、ご報告申し上げた予想日時よりも、相当早く近づくことになります」