智行は
「できるだけ夏期休暇には、そちらへ行けるようにします」
と言ってジョアンに替わった。

ジョアンが、母親のヒュッジュとも、最近は連絡を取っていないので、明日にでも電話をしてみると言い、その後しばらく会話をして、電話を置いた。

李は久し振りにジョアンの声を聞くことができて、心が安らぎ、明日はディアンに電話をすることにして、連合本部ビルに向かった。

十時ごろに通信本部に入ると補佐官から

「現在、会議室で科学者が集まり、観測結果と計算から、小惑星群の軌道の最終的な判断を行っています」
と知らされた。

報告は午後二時からの会議で聞く予定であるので、一時間ほど通信本部で作業を見守った後、昼食を取りにレストランへ行き、テーブルに着いた。

そこへジェラルディーンが、後から入って来て、李を見つけて近寄って来て

「相席させてもらっても宜しいでしょうか」

と訊くので、李は

「いいですよ」と答えた。

ジェラルディーンが注文を済ませると、彼は李にアメリカ合衆国の副大統領に、大腸癌が見つかり、緊急手術をすることになったと伝えた。

今日から入院して詳しい検査の後、四日後には手術を行なうらしく、退院できるようになるまでに、手術後一ヶ月は掛かるとの見通しであり、その間、副大統領は政務を行なえないことも伝えた。