「俺たちも行こう」 「ああ!!」 そう、兄貴の背中に一歩踏み出した時だった。 ――… … ―― 「なんだ?」 耳の奥で、何かが響いた。 周りには、何もない。 「ま、いっか」 気にもせずに足を前に出す。 その音が、時計の針を示すとは俺はまだ知らないままに。 まるで気づかれず、その針は、ひとつ進んだことを。