俺は一人、中庭に立っていた。 雨上がりの生温い風が頬を撫で、整備された草木を小さく揺らす。 風が止んだ一瞬。 小さな気配。 「!!」 俺は素早く振り返り、背中の大剣を降り下ろした。 「てやぁっ!!」 小さな手応えに、剣の下を見ると、折れた短弓の矢。 またあいつか。 そう思った俺の上から感心したような声が掛かった。