「ねぇ、真白ちゃん。あの話聞いた?」

「…あの話?」

なんのことだろ?3年前…3年前………。

「えっ、もしかして真白ちゃん知らないの!?昨日の通り魔事件!!」

「通り魔!?」

あ、そっか。
通り魔…そういえば、高2の頃ってちょうど通り魔事件が多発してたっけ。
3年も前のことだったからすっかり忘れてた…。


当時、女子高生を中心に襲う通り魔がいて被害者が絶えなかった。
夜遅く、暗闇の中を歩いている女子高生を無差別に背後からナイフで刺すという手口。

噂では犯人は全身黒の服を着ていて中年くらいの人らしい。


私がなぜ通り魔事件に詳しいのかというと、学校中で毎日のように噂されているせいなのと、新聞やニュースでよく話を聞いていたから。

というか、周りにいる子達もみんなそうだと思うけどね。


そういえば、まだ犯人は捕まっていないんだよね…。卒業してからはすぐに今住んでいる町に引っ越ししちゃったし。

「真白ちゃん、気を付けてね!!真白ちゃん可愛いから狙われちゃうよ!」

「フフッ。大丈夫だよ!私、全然可愛くないし。それより…唯の方がずっと可愛いんだから気を付けてね!!」

「でも…」

「大丈夫、可愛くない真白が狙われるわけなんてないから。」

「雪君…それはひどくない?」

「白石くんと真白ちゃんってホントに仲良しなんだね♪」

「まぁ、幼なじみだしね」
うっ!
自分でいっておいて傷付いたかも…。
いくら私が雪君を好きでも幼なじみとしか思われてないんだよね…。

「それに…もし真白が通り魔に狙われたとしても俺が守るから平気だ。」

「――っ!!」

雪君…その表情でそのセリフは反則だよ…。
絶対に今の私の顔、真っ赤だ…。

「きゃー!真白ちゃん、白石くんに愛されてるね♪白石くんが守ってくれるなら絶対に大丈夫だね!!」

「ゆ、雪君!?唯も!そろそろ予令鳴るし…!!は、早く教室行かないと!」

私は慌てて話をそらした。

私達がしていた会話を、ある人が盗み聞きをしているとも知らずに…。