初恋の人を思い出すから、雪は好きじゃない。

彼は私にかげがえのない、いろいろなものをくれた。……でも、彼はもうこの世にはいない。
だけど私はまだ彼のことを過去にはできない。
ううん、"できない"じゃない。"したくない"んだ。 彼のことを過去にするとなんだか、彼を忘れてしまいそうで。
そうなるのが怖くて。
だから、過去にはしたくない。
忘れたくないから。



◇◆◇◆



地元にある、彼の眠る墓の前に私はそっと花と線香をあげた。
線香の煙が薄暗い空へと上っていく。
薄暗い空がまるで自分の心の中を表しているみたい。彼が死んでから私の心の中から色が消えてなくなってしまった。


……彼がいなくなって今年で3年。
あの時、私はまだ高校2年生の17歳だった。

彼が私の支えだった。
彼がいない今、私は何を生き甲斐にすればいいんだろう。
私が生きている意味は何だろう…。