そしてその予感はあたって欲しくなんてないのに、当たってしまった。


「…雪斗が、………雪斗が死んだ」

震えた声でお兄ちゃんは確かにそう言った。


ユキクンガシンダ………?

頭の中が真っ白になった。
「お、お兄ちゃん……?何、つまんない冗談言ってるの?嘘だよね?あ、分かった!!また私を騙そうとしてるんでしょ?」

お兄ちゃんは昔から私にイタズラや冗談を言っては私の反応を見て面白がっていた。

「…………。」

黙んないでよ!
そんなの、まるで"本当のことだ"って言っているみたいで…。

「ねぇ、答えてよっっ!!」
雪君が死んだ?
まさか。そんなわけないもん!
だって、だって…昨日はあんなに元気で……。

ウソウソウソウソウソウソ嘘だぁ!!

必死で我慢してたんだと思うけど、小さな嗚咽が電話越しに聞こえてきた。


それが答え。

今の話が本当で、冗談などではないことが分かる。
分かるけれど、信じられない。
だけど知ってる。
お兄ちゃんは私が本当に嫌がるようなことはしない、ということを……。
だから、それはつまり……。

「…うぅぅ。ねぇ、う…そ…よね?嘘だって……言ってよっ!!う…うわぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁあぁあぁぁあ!!」

本当のこと。
あまりにも突然過ぎて信じられない。

私はその場でしゃがんで泣き叫んだ。
人目なんて気にせずに、声が枯れて出なくなるまで。
ずっと、ずっと。
ひたすら泣き続けた。


二度と逢えない愛しい人の姿を思い浮かべながら。
いつも優しい笑顔を見せてくれた……彼の姿を。