幼いながらにそう思った記憶がある。

この施設にはいろんな子がいる。

虐待を受けた子。

親に預けられたままの子。

捨てられた子。

…でも、あたし達みたいな赤ん坊のまま捨てられたのは初めてだったんだって。



「ねぇねぇ」

「……」

「ちぃさーとちゃんっ」

「………なに」



大人びてるな、稚里の第一印象はそんなんだった。

いつも1人でいて、ちょっと小難しい本読んで。



「いっしょにあそぼ」

「……あそばない」



話し掛けても、嫌な顔をして避ける。