―――そして、やって来たのは遊園地。




「うわぁ!親子連れ多いね〜!」

「琴音、あんまはしゃぐなよ」




何気にあたしも、琴音も遊園地には初めて来る。


そのせいで琴音はものすごくはしゃいでいて、何度転けそうになった事か…。


せっかく可愛い格好してんだから、ちょっとは落ち着いて欲しい。




「浮かない顔だな」




そう言ってぐしゃぐしゃ、と笑って頭を撫でてくる暁斗。




『まぁ…』

「初めてだろ?遊園地」

『まぁ…』

「何が嫌なんだよ?」




怪訝な顔で問い掛けてくる暁斗に、あたしは小さく息をはいた。




『……人』

「…まぁ、それはしょうがねぇ」

『そうだけどさぁ…』




遊園地なんだから、人がたくさんいて当たり前なんだけど。何よりも、親子連れが多くてなんだか不思議な気持ちになる。




「稚里ー!暁斗くーん!はーやくー!」




遠くの方で琴音が大きく手を振っている。


…純粋に楽しめる琴音が羨ましいや。人が多いどころか、太陽が照り付けて倒れそうだ。




「とりあえず、行くか」

『んー』




差し出される手を自然と握って、琴音達のところへ向かった。