同時に走り出すあたし達。

周りの野次馬も、あたしの耳には入らない。

だって気を抜くと、琴音に抜かされちゃう。

ゴール手前。

――よし、ちょっと卑怯だけど。

あたしは琴音の足を引っ掛けて、転けさせた。



「わっ!?」

『ごめんねことー!』



よっしゃ、あともうちょい!!

そう思うや否や、あたしは何かに足を捕まれ顔面から転けた。



『ぶふッ!?』

「やったらやり返す!!」



……どうやら琴音が足を掴んだらしい。

おかげで砂が口に入った。

どうしてくれんだオイ。