ひどく後悔していた。


母親の話なんか、するんじゃなかった。


同僚なら私の気持ちを解ってくれるんじゃないかなんて、期待した私が甘かった。浅はかだった。


普通の親に育てられた幸せな人間に私の気持ちが理解出来るはずが無い。



同僚に思慮が足りなかったのではないと思う。


変な母親に育てられた私と、普通に育てられた同僚とでは、そもそも住む世界が違うのだ。


普通である事は、何も悪くない。



結局、私は自分の問題を一人で抱えて生きていくしかなく

同僚は普通の人生を生きて、やがて彼と同じように普通に育てられた女性と恋愛、結婚をし

自分達が育ったのと同じような、普通の幸せな環境のもとで子供を育てるのだ。


それが一番、物事としては丸くおさまっている。



その時、私は生まれて初めて、自らの生い立ちと消極的なこの性格を、悔しいと思った。


馬鹿みたいで情けなくて悔しくて、仕方が無かった。