「お疲れ様です」


「あぁ。お疲れ様です」


同僚は、私の姿を認めると表情を緩めた。


「俺、金曜日の夜に日本酒飲んでみたんすよ。

けっこういけますね。

量さえ気を付ければ二日酔いもしないし」


「えぇ……」


「他のも飲んでみたくなったんすけど、どれがお薦めですか?」


「お薦め……」


陳列してある酒の中から味の割に値段が手頃な1本を選んでやると、同僚はそれを自分の買い物カゴに入れた。


薦めた張本人という事で私も同じ酒を手にした。


何となく、違う酒は買いづらかった。