「…本当に、ごめんなさい」
須藤さんの前までいって
もう一度頭を下げた。
…でも何も反応がない。
頭を下げたまま目を開くと、
一歩、二歩とこちらに近づいてくる
須藤さんの足が見えた。
「…顔、上げて」
ゆっくり顔を上げると
須藤さんはまるで痛みを堪えるような
苦しい表情をしていた。
「今から起きることは、
この部屋を出たら忘れて」
その言葉と同時に
須藤さんは強く――…
私を抱きすくめた。
それはあまりに唐突で
私はただ、目を見開いた。
須藤さん……
どうして―――…?
しばらくすると須藤さんは体を離して、
何も言わずにドアノブに手を掛けた。

