「俺、生徒には
嫌われるタイプだから」



自嘲するように
須藤さんが話す。



「運転下手な奴見てると
イライラしちゃってさ…
つい、態度に出る。
…教官に向いてないよな?」



「そ…そんなこと
ないですっ!!」



私があまりに大声を出したので
驚いて目を丸くする須藤さん。



「最初は…怖かったけど…
厳しくされたから
運転上手になれたし、
私のこと褒めてくれたし、
今だって明日の試験のこと
教えてくれようとしたし…」



ああもう、
上手く言えないや…

でも、とにかく!



「須藤さんには
たくさん、たくさん
良いところがあります…!!」



私が言い終わると、
ふっと笑った須藤さん。



「…ありがとう。
そんなこと言われたの
初めてだ」



今までで一番の笑顔。



どうしよう……
胸が詰まる――…



これで、
最後なのに……。