勉強の甲斐あって
私も祐美も定期的なテストは
ほぼ、合格点だった。



ただ、祐美と違って私には
問題があった。



「……えっと、座ったら
シートベルト。
ミラーを直す。
周囲を確認して……」



「それ、いちいち声に出さないと
覚えられない?」



「す…すいません」



おじいちゃん教官は
最初の一回だけ。

二回目から私の指導に
ついているのが……



「君、たぶん最短じゃ
帰れないよ」



眼鏡の奥の冷たい瞳で
私を見つめ、

呆れたような声で
私を注意し、

助手席でため息ばかり
漏らすこの人…

須藤さんだった。