「…どうしたの?」



「な…なんでもないです!
学科は、大丈夫です!」



こんなの見られたら
須藤さんに嫌われちゃう…!



「…そう?
じゃあ間違えやすい所だけ
教えるから」



そう言って私の持っている教本を
あっさり奪った須藤さん。




「あ……っ!」




綺麗な長い指が
ページをめくっていき、
ある場所で
その動きが止まった。




「……すどうさんのばか」




須藤さんは声に出して
私の落書きを読み上げた。



み…見られちゃった…



「なるほどね…」




「ち…違うんです!
それは、そのっ……」



「大丈夫。慣れてるから」



……慣れてる?



「自習室の机って
いっぱい落書きがあるんだけど
知ってる?」



「…いえ」



落書きなんて
あったんだ……



「教官の誰々が好き、とか
卒業した日付とか、色々あるんだけど…
俺の悪口も、
山ほど書いてあるんだ」