「はい、お疲れさま」
楽しみにしていた最後の教習だけど、
あっという間に時間は過ぎて
自動車学校に戻ってきてしまった。
「明日の卒検…
私、受かりそうですか?」
車内で須藤さんに聞いてみる。
「運転はたぶん大丈夫。
あとは学科か…
何か聞きたいこと、ある?」
学科…かぁ。
せっかくだから
何か聞いてみようかな。
私は後ろの座席に置いてあった
教本を手に取り、
ぱらぱらとめくった。
“須藤さんのバカ!”
“もうちょっと優しく
注意できないの?”
“舌打ち、やめてよー”
“須藤さんなんて大キライ!”
…こ…これはっ!!!
須藤さんの悪口が
書き連ねてあるページに
目が止まり、
私は慌てて教本を閉じた。