涙色の季節《短編》



「もっと早いタイミングで
寄せ始めないと…」



ハンドルに手を掛けたまま
話すので、
いつもより須藤さんが近い。



この距離は
心臓に悪い……!

須藤さん、
なんかいい匂いするし。

コロンや香水じゃなくて、
なんていうか
男の人独特の……



そんなことを考えていると、
後ろの車にクラクションを
鳴らされた。



その音で我に返ると、
窓の外ではすでに
料金所のおじさんが
手を伸ばしていた。



「さっさと窓、開けて」



須藤さんの声にも
苛つきが感じられる。



「す、すいません…!!」



用意してあった小銭を
慌てて渡して、
受け取ったレシートを
くしゃくしゃにしながら
ポケットに突っ込む。



後ろの運転手さん、
待たせてごめんなさい…



心の中で謝罪して
私はアクセルを踏んだ。