「もうちょっとスピード出さないと…
さっきから何台の車に
抜かれてると思ってる?」
「そんなの数える余裕、
無いですっ!」
卒業まで今日を入れて
あと二日――。
今日は、須藤さんと
高速教習。
初めての高速道路に
私はガチガチに緊張していた。
「もうすぐ、料金所だから
ちゃんと車寄せてね」
料金所……!!
どうしよう、お金渡す手が
届かなかったら…
私の緊張はさらに増し、
ハンドルを握る手は汗でびっしょり。
「あ…あそこですね」
見えてきた料金所。
前に何台か車が居たので
少しほっとしながら
ゆっくり車を進めると、
須藤さんがため息をついた。
「…駄目だな」
「えっ……?」
助手席の方を向くと、
いきなり須藤さんの手が伸びてきて
ハンドルを器用に動かし始めた。