涙色の季節《短編》



「え……?」



聞き返すと同時に
車はすごい勢いで急発進した。




「わっ…!!」



一瞬体が宙に浮き、
咄嗟に窓の上の手すりを掴んだ。


あ…危ないっ!



「空いてる時間帯で良かった」



そう呟くと、須藤さんは
さらにアクセルを踏んで加速した。



「あ…あの……
ここ、50キロ制限じゃ…」



80キロ近くを指しているメーターに
ハラハラしながら聞くと、



「とりあえず、黙ってて」



ぴしゃりと言われてしまった。



私はそれ以上何も言えずに、
手すりをぎゅっと握ったまま
自分の膝ばかり見ていた。