涙色の季節《短編》



しばらくすると、
須藤さんがゆっくり目を開いた。



「……ここ、どこ?」



「私も、わかりません…」



そう答えると、
須藤さんは眼鏡を外して
目をゴシゴシこすって
またかけ直した。

そして周りの景色を確認して
一気に不機嫌な顔になった。



「…運転、代わる」



「は…はいっ!」



そんなに遠くまで
来ちゃったのかな…

もっと早く起こした方が
よかったのかも…



須藤さんをこれ以上怒らせないように、
私は慌てて運転席から降りて
助手席に移動した。



最近やっと柔らかい表情を
向けてくれるようになったのに、
これじゃ逆戻りだよ…



助手席で小さくうつむいていると、須藤さんが言った。



「急ぐから
どっかにつかまってて」