「美子ー、教官
どんな人だった?」



「優しそうなおじいちゃん」



「あはは、良かったね!
私は女の人で、超美人」




――ここは、
とある地方の教習所。


私は大学のクラスメイト、
祐美と合宿で免許を取りにきた。


さっき初めて車に乗って
敷地内のコースを走った私たちは
待ち合わせていた食堂で
互いに感想を言い合った。



「最短で、帰れるかな?」



「学科さえ落とさなきゃ
大丈夫、みたいな事
おじいちゃんは言ってたよ」



「なら平気かぁ。
…ここ田舎だから
ホテル帰っても
勉強しかやることないし」



…だね。
ほんと、教習以外は暇。



テレビも
なんか地方のローカル番組ばかりで
つまらないし…

最短なら二週間の
辛抱だよね。



私は気を取り直して
持っていた運転教本を開いた。