愛のカタチ



椅子を引き、ゆっくりと椅子に座る


これは家にいる間に自然に身に付いた



家では優雅に振る舞わなければならなかったから…


「…あの、柳さん?」



少し小さな声だったけど、隣の席から聞こえたため十分に聞き取れた



「はい?」


ここに来て初めて話しかけられるから、少し緊張した


握った手のひらが少し汗ばむ


「私、稲垣雪(イナガキセツ)
よろしく」


横の席に座っていた稲垣雪は、あたしの緊張なんて露知らず


愛想良く話しかけてくれた