タカシナのコンピュータの腕前は、仲間内ではかなり有名だったらしい。

その彼が、殺された男性と親しかったことが大勢の人間に知られてしまえば、いらぬ危機に合ってしまうかもしれない。

それならばいっそのこと、利用されるのならば警察の方が、身の安全も保障されるだろうと思った。

今は住所も変わり、決して近くない場所に彼はいるけれど、会えないことはないし、連絡も取れる。

事件のほとぼりが冷めるまで、少し寂しいけれどこの状態を続けるしかない。

でもこのことはナツキだけが知る秘密。

タカシナの元へは、高校を卒業した後に行く約束をしている。

「だからそれまでのガマンガマン」

ナツキは静かに微笑み、呟いた。

机の下からケータイを取り出し、写真を出す。

あの川原で撮ったタカシナの写真、今はこれで耐えるしかない。