「えへへ。あっ、隣座っても良いですか?」

「ああ」

ナツキはタカシナの隣に座った。

「これでも一人で出掛けるのは久しぶりなんですよ。事件後は出掛けるのも何だか怖くて…」

「だろうな。先生達の間でも、カウンセラーを招くことを言い出している人もいる。来週には3人ほど来る予定だから、不安があれば相談すると良い」

「あっありがとうございます」

ナツキは微笑み、目の前の景色に視線を向けた。

「ここ、キレイですよね」

天気が良いおかげで、今日の川原の景色は一段と美しく見えた。

青く透明な川に、太陽の光が反射してキラキラ輝いている。

深呼吸すると緑と土の匂いがして、心を落ち着かせてくれる。

川原には公園が設置されており、子供達の笑い声が柔らかな風に乗って聞こえてくる。

「何か平和の象徴ってカンジで、ボク好きなんです」

「そうか。ナツキはここによく来るのか?」