始まった劇はいたって普通の赤ずきんでした。
これといってオリジナリティがある訳でもなくて…
「以上、赤ずきんでした。」
普通に終わりました。はい。
「先輩、他にはどんなのがあるんですか?」
「他には…かちかち山とか、花咲か爺さんとか?とりあえず、王子様やヒーローが出ない話ばっかり。」
「なんでなんですか?」
「男子が居ないのよ…」
「そうなんですか…」
そう言うと先輩は清水くんを見る。
人形劇部に入って、と言わんばかりに……
「あ、あの~。ちょっと考えさせて下さい…」
「うん。いい答えを待ってる!」
いや、もう先輩はいい答えしか聞きませんよ?的な雰囲気をかもしだしています。
清水くん、ごめんなさい…
「福永、とりあえず帰らねぇ?」
「はい!それでは先輩さよなら。」
私、人形劇部に入ろうかな?
あの先輩かわいいし、面白そうだったし。
でも清水くんはどうするんでしょう?
あの時、清水くん困ってたし…


