荷物を持ち達也のマンションを出た。

帰る場所は、一つしかない。
私が前まで住んでた家だ。
私には、親が居ない。
達也には、内緒にしているけど、達也が引越してすぐに、交通事故で呆気なく死んでしまった。
それから祖母が育ててくれたけど、三年前に亡くなった。
それから、淋しくて夜遊ぶようになったが、淋しさが減るどころか、増える一方だった。
一人にしては、でかすぎる家。
私は、毎日一人孤独に暮らしていた。
友達もいたけれど、迷惑かけるわけにはいかない。
そんななか、達也と再会したのだ。
楽しかったなぁ
少しだったけど、楽しかった。

また、涙が流れた。
泣かないって決めたのに……

いつの間にか何日ぶりかに帰る家と、今日の朝まで一緒にいた男がいた。