トイレから戻ると 「おい、行くぞ。」 あたしのコートを手渡し 偽者のヴィトンのバッグを ポンと投げてきた。 「あ、お金。」 黙って会計を 済ませておいてくれたらしい。 財布をガサガサまさぐる。 去年弘樹にもらった ピンクの色褪せた財布。 「仕舞え。」 藤田くんは無理矢理 財布をバッグに押し込んだ。 「でも、」 「今からどうしよか♪」 「あ…」 ありがとうございます… あたしは小さい声で お礼をいった。