おこりんぼ姫となきむし王子

「結婚する気あるの?」


長い沈黙をやぶったのは綾の方だった。
その顔にはさっきまでの驚いた表情も深刻そうな表情もない。
いつもの強気な綾に戻っていた。


僕から自然にこぼれたのは深いため息で、綾が目を細めて顔をこわばらせた。


「なに?めんどくさいの?」


声を荒げる綾を制し「はいはい、わかった」という感じで僕は綾の頭をなでる。


「本当に綾は素直じゃないな。」


「なにょ」と顔を真っ赤にして僕の手をふりほどく。


「お腹の子は俺の子なんだろ?」


「もちろん」


「なら決まりだよ。俺は綾と子供を幸せにする。な?」


綾はその言葉に微かにうなずきちょっと微笑んだような気がした。