『梛木様、麗羅様が参られました。』
使用人が障子の向こうにいるであろう父上に声をかける。
しばらくして"入れ"という言葉とともに障子が開けられた。
とても広い部屋に響く障子が閉まる音。
今、この空間には私と父上のみ。
私は伝統的な挨拶をすませ、父上の前にある座布団の上に座った。
『今日から高校生になったようだな。』
そこにおめでとうの言葉はない。
『はい…』
『お前のようなやつでも進学できるのだな。』
ただ淡々と…
『まぁいい。 くれぐれも安倍の名を、俺の名を穢すようなことはするな。』
冷淡に…
『お前は俺の操り人形なんだからな。』
言葉を紡ぐ。
『もう下がれ。 他に用はない。』
私を睨む。
『はい…失礼しました。』
そして最後に聞こえるのは、
『母親殺しの娘が。』
いつもこの一言だった。
