『なんで、皆森が持ってんの?』 神川は桜を見ながら、そう言った。 『…美幸に貸したんだけど。』 神川はそう加えて、俺を見上げた。 深川の下の名前って、美幸だっけ? 『深川の代わりに返しに来たんだよ。ありがと、だってさ。』 神川の刺々しい口調に俺も少し言い方がキツくなった。 『…そ、わかった。わざわざ、ありがと。』 神川は棒読みでそう言った。