渡された紙を胸元に持っていき、ギュッと握ってから私も屋上から出た。




受けてるだけじゃダメだ。



ちゃんと戦わないと…。

















放課後、早瀬先輩と話をしようと思いながら机をガサゴソとしていると、中から1枚の小さい四角の紙が入っていた。




自分が何かメモったやつかな?と何の疑いもなく開いてみる。




すると




『4時15分。
校門で。
黒木 愁』



と書かれていた。




「これ…黒木先輩から?」



何で直接でもメールでもなく手紙なんだろうと、一瞬疑問に思ったが、そこまで深く考えないようにした。



「きっと先輩も忙しかったんだろう」




そう思った。




って、今何時!?




「13分…」




ヤバッ!




待ち合わせ時間まで後2分しかない!




仕方ない。




早瀬先輩との話はまた明日かな…。





「あれ、実梨帰るの?」




「うん、待ち合わせが…!」




「紀田くんと?」




「違うよ、黒木先輩」




「…そうだよね〜。
じゃ、またね」




「うん、また。
バイバイ!」




「バイバ〜イ!」




カバンを掴んで教室を出て、廊下を走るのを先生に注意されながらも玄関へ急いだ。




「はぁ、はぁ…」




あれ…。




急いで来たものの、校門に先輩の姿はなかった。




まだ来てないのかな…?





周りには誰1人いなかった。




キョロキョロと校門の外も見回して、来てないのを確認してから校門の中に入ろうとした時




「うっ…!」




誰かに後ろから甘い匂いのするハンカチを口と鼻に押さえ付けられた。




くっ…。






ユラユラと視界が揺れてボヤけていき、私の意識は徐々に無くなっていった…。