「そういえばその子、朝教室に来てたよね」
「え…?」
「あれ、気づいてなかった?
教室の前で何か内田…Bと話してたじゃん」
「…知らねー」
実梨ちゃん、朝教室に来てたんだ…。
つか、内田って言ってんだから、わざわざBに言いかえる必要ねぇだろ…。
けど、一体何しに…。
もしかして、俺が朝校門のとこで待ってなかったから?
「で、後でBに聞いたんだよ。
何話してたのかって。
そしたら…」
「そしたら?」
「大した用事じゃないからってすぐ帰っちゃったって」
「ふーん…」
大した用事じゃない…。
もしかして、さっき一緒にいた男子のこととか?
そう思っただけでもモヤッとする。
「あー、何かすっげーイライラする!」
「何、Bと話してたことにイラッとしてんの?」
「それもあるけど!
…わかんねぇ。
わかんねぇけど、何かイライラすんだよ!」
「…それってやきもち?」
「やき…もち?」
やきもち…?
これが…?
「彼女が他の男と一緒にいたり、楽しそうにしゃべってるの見ると、どんな感じ?」
「どんなって…。
何かこう…モヤモヤーッとして、面白くない…。」
「うん、わかってんじゃん。
それがやきもち」
これが…。
そうか、これがやきもちなのか。
「初めての気持ちで、戸惑ってる?」
「…まぁ少しな」
「大丈夫だよ。
愁ならきっと上手くやれる。
やくほど彼女が好きなんだからさ」
「…いろいろとありがとな、A」
「どういたしまして。
けど、Aはやめてくれる?」
「ハハハハ」
初めての気持ち。
何だかモヤモヤして、胸が苦しくなる。
それがやきもち。
けど、それは彼女の事が本当に好きだから起こってしまうこと…。
これが、好きだという証…。
だから、俺はもう悲しませたりしない。
この気持ちもちゃんと背負って彼女と向き合う。
だって、彼女の笑顔が好きだから…。



