それからずっと見ていると、なにやら実梨はブカブカとした靴をはいていた。
そのまま玄関に行く。
何であんなでかい靴はいてるんだろ…?
謎に思いつつも実梨に目をやる。
…そういえばあの男、どっかで見たことあるような気がする…。
どこだったっけ?
上の空で考えていると、ちょうど実梨が転けるところだった。
「危ない!」
思わず声を上げてイスから立つ。
みんなは驚いた表情でこっちを見ていた。
「…すいません」
焦ってまたイスに座り直し、急いでまた実梨たちを見た。
「…っ!」
なんてことだ…。
実梨がケガがなく、助かったのは良かった。
けど…。
あの男に支えられてる。
実梨…。
俺はモヤッとした思いが込み上げてきた。
理香と付き合ってた頃にはなかったはずの思い。
そして、男は実梨に手を差しのべた。
実梨は戸惑ってる様子…。
頼む、その手をつかまないでくれ…!
ギュッとシャツごと胸を掴む。
ドクドクと鳴る心臓の音が徐々に早くなっていく感じがした。
頼む!!
けど俺の思いは届かなかった。
実梨が男の手を取る。
それを見た時、俺の胸はキューッと縮むみたいに痛くなった。
なんだ、これ…?
初めての痛みで、どうすればいいのかわからない…。
そのまま俺は外から目を離した。