先輩には保健室に行く。と言ったが、私はそのまま教室に向かった。
もちろん、上履きに入っていた画鋲は丁度廊下を通っていた先生にちゃんと預けた。
「ふ〜、ギリギリセーフ!」
本冷が鳴るまであと1分のとこで教室に入ることが出来た。
「あ、実梨!
おはよ〜」
「おはよ〜」
席につく前に前の席の子に挨拶され、し返す。
「ねぇ実梨」
「…何?」
席に座ると、隣の子が話かけてきた。
「朝窓から見ちゃったんだけどさ、黒木先輩と付き合ってんの?」
「な、な、何で知って…!」
あっ!
と思い、すぐさま口を手で押さえる。
やばっ、つい口走って…!
「やっぱり!
そうだと思った〜!」
口をふさいでも、すでに遅かった。
「な、何で気づいたの?」
「だって黒木先輩と実梨、すごく楽しそうに校舎まで走ってたからそうかなって!」
バレてる!
うわ〜、恥ずかしい!
「でももったいないね」
「え…?」
「実梨の元カレの佳くん
先輩に負けないぐらいかっこよかったんだけど…」
「ん…」
私も佳には申し訳ないと思ってる…。
けど、私…
その時、HRが始まるチャイムが鳴った。
先生が入って来て、日直の人が
「起立」
と言ってみんなガタガタとイスから立ち上がる。
「はい、みんなおはようございます
え〜今日はですね…―」
イスに座った私は朝の画鋲のことも考えていたから、先生の話なんて流し聞いていた。



