名前を呼ばれてハッとなる。



先輩!?




「実梨ちゃん!」



「先輩!」




男の人たちの隙間から名前を呼ばれた方を見た。




するとこっちへ向かって走ってくる先輩の姿があった。




「先輩!」



もう一度先輩を呼ぶ。




「てめぇーら…
何してんだよ!」



駆け寄ってきた先輩はそのまま男の1人を背中から蹴っ飛ばした。




ズシャッと地面に倒れる男の人。




私はその衝撃をポカーンんと見ていた。




「くっそ!
てめ、何しやがる!」




「それはこっちのセリフだ!
てめぇら青木団の奴らだな?」




「な、何で知って…!」




蹴飛ばされた男の人の元で佳を殴ったいかつい人が



「お、おい!
こいつあの〝黒木 愁〟なんじゃねぇのか!?」




「まさか!?」




あの〝黒木愁〟?



どういうこと…?





「おい、やべぇぜ!
逃げよう!」



「あ、あぁ!」




男の人たちはそう言ってさっさと逃げて行った。




一体なんだったのやら…。




それに、先輩があんな人たちに怖がれる理由って…?



いろいろ謎だらけだった。




けどそれよりも…。



「実梨ちゃん大丈夫!?」




「はい、私は全然…。
でも佳が!」




倒れている佳の側に行って抱え起こす。




「佳、大丈夫!?」




「…っ!」




「血が出てる…」




私は急いで佳の口元にハンカチを当てた。