「すいません、遅れました!」



「ちょっと、桜井さん!
何をしていたんですか!
遅刻ですよ!?」



「すいません…。
ちょっと調子が悪くて…」


「そう言うことは先に先生に言ってから行きなさい!」




「はい…」




先生に怒られ、みんなから注目を受けてクスクスと笑われる。




とんだ赤っ恥だ…。




「実梨、HRの時遅刻だってことになりそうだったけど、私が「気分が悪いから保健室に行ってます」って言っといたから」



ボソっと朝声をかけてくれた子が言った。



てことは、私は遅刻にはなってない…?



…良かった〜!




こんなところ見られたくないから、ここに佳と先輩がいなくて本当に良かったと、心からホッとして席に着いた時だった。






「あ、カバン…」




保健室にカバンを置いてきた事を思い出した。




すぐに取りに行きたい…。



けど、さっき遅刻してみんなの注目を浴び、怒られたばかりだ。



しかも一時間目の先生はあの一番怖い塩田先生だし…。
また何かガミガミ言われそう…。




私は席から立とうとしたものの、取りに行く勇気が持てなかった。