佳に連れられ、人気のないグランドからちょっと離れた場所に来た。



「佳、どうしたの…?」



「実梨…
真剣に答えて…」



「う、うん…」



何のことかわからなかったけど、一応返事をする。




「…俺とあの人、どっちを取るの?」



「え…?」




「さっきの告白、あの人実梨のこと本気っぽかった…」



「ちょっ、待ってよ
あれは冗談かもしれないし…
そんな真剣になんなくても…」



「冗談で人が告白しようと思ってたのを邪魔する?」


「…ううん」



そう言われるとそうかもしれない。



けど私は先輩にドキッとしたことはあっても、先輩は先輩としか見てなかったから…。



何て言えばいいのかな。



いきなり好きとか言われてもどうしたらいいのか…。



「…実梨、俺とあの人、どっちを取るの…?」




「…わかんない…」



「……」



「確かに私は佳と付き合ってて、佳のことが好きだよ?
でも、いきなり違う人から好きって告白されたらどうしたらいいのかわかんないんだよ…」



こういうことは初めてだからなおさらわかんなくなる…。




「…実梨、ちょっと整理する時間が必要だね…
明後日の放課後まで待つから…その時実梨の気持ち聞かせて?」



「うん…」



ごめん、佳…。




「じゃ、戻ろう
まだ体育祭は終わってないしね…」



「そうだね…」









「ちょっと愁、ちゃんと分かるように説明して!」



グランドに戻ろうとした時、近くで早瀬先輩の声が聞こえた。



次の種目は三年生だけだし、大丈夫だよね…。



と気になって佳と声のする方に近づいて行った。