「ごめんね。
いきなりでビックリしたよね…」



「まったくです。
どうすればいいか戸惑いましたよ」



ツンとして言う。



「ホントにごめん!
でも、俺ん中ではかわいいと思ったのは実梨ちゃんなんだよ」



笑顔で言われ、不意にもドキッとしてしまう。



…いやいや、待て待て!



「かわいいって、早瀬先輩に怒られますよ!」



「あ、言い方が悪かったかな…。
後輩の中では実梨ちゃんが一番かわいいと思うんだ」


今度は胸がズキッと痛んだ。



「そう、なんですか…」



何なんだろ、これ…。



「ていうか先輩、かわいいとか2回も言わないでください。
恥ずかしいです…」



無理に笑って先輩の腕を軽く叩く。



「ハハハ!
でも、ホントのことだから…」



優しい顔で言われ、言葉が出なくなった。



「じゃ、また後でね」



そう言って私の頭をポンポンとしながら列に帰っていく。



その後を見送ってから私もテントの中に戻った。



「あれ、実梨顔赤くない?」



「え……?」



私顔赤くなってるの?



「もしかして黒木先輩に惚れちゃったとか〜?」



「なわけないでしょ
実梨には佳くんがいるんだし」



「だよね〜
でもいきなり黒木先輩が来てビックリしたよ〜」



「うん、てゆーか黒木先輩って……」




私、どうしたんだろう。



ドキッとしたりズキッとしたり…。



何か、おかしい…。



いや、先輩に対して恋心なんてないはず。



私には佳がいるんだし…。




先輩を好きになったりなんて、しないよ…。