「実梨ちゃん、さっきの応援合戦のダンスすごくかわいかった〜!」
ギュウッと抱きしめられる。
「ちょっ、先輩離して下さい!
苦しいです!」
「あ、ごめん、つい…」
そう言って先輩は苦笑いしながら離れた。
もう…。
あ、私大丈夫かな…。
早瀬先輩に殺されるかな…?
恐る恐る振り返った。
あれ…?
「先輩、早瀬先輩は…?」
「ん、えーと…
置いて来た」
ハハハ、とまた苦笑いで笑う。
置いて来たって、何で?
いつもベタベタ一緒にいるのに…。
「ん〜、いつも一緒にいるからなのかな〜?
たまには違う子といるのもいいかなって!」
子供のように無邪気な笑顔で笑う先輩。
で、その違う子が私ですか…。
勘弁してよ…。
それでなくても私あの先輩に睨まれてるんだから…。
「でももうすぐで見つかるかも…」
「あ、愁いた〜!」
先輩が言った後、すぐその人は来た。
「も〜、探してたのよ〜!」
「ごめん」
「…またあなたたち…?」
やっぱり睨まれる。
もうなれたから何ともないけど…。
「愁、もうこの子には近づかないで!」
「え、何で?」
いきなりのことで驚いている。
「何でって、私が嫌だから!」
「理香…実梨ちゃんたちのこと嫌いなの?」
「嫌い!
特にこの子!」
ビシッと私に指を指される。
「この子の彼氏は愛想がなくて無口だし、この子なんて見てるだけでもムカつくわ!」
…私のことはいいけど、何で佳まで悪口言われなくちゃいけないの…?
私の怒りは頂点に達していた。



