今日は12月最後の日。
いわゆる大晦日だ。
『いや〜、今年も無事に終わりますね〜』
『そうですね〜。
来年はどんなことが待っているのか楽しみですね〜』
家族とテレビを見ながら年越しうどんを食べる。
そばは苦手だから…。
それにしても、今年もあともうちょっとで終わり。
今年は初めて高校生になったから、来年はもう2年生か〜。
早いな〜。
…いろんなことがあったな…。
黒木先輩と初めて知り合ったのが佳とのデートの時で、体育祭の時は先輩から告白されたり。
そのせいで早瀬先輩から恨まれて嫌がらせを受けたり、連れ去られたり。
いろんなことがあった…。
それに…佳と別れて黒木先輩と付き合ったり…。
それから最初は苦手だった早瀬先輩と、あまり話したこともなかった紀田くんと仲良くなったり…。
ホント、不思議で想像もしてなかった未來。
こんな関係がこれからも続いていけばいいのに…。
『さて、みなさん。
カウントしますよ〜!』
『…―5、4、3、2、1!』
『ハッピーニューイヤー!』
わーとテレビの中が盛り上がる。
とうとう新しい年になった。
「実梨明けましておめでとう」
「明けましておめでとう、お母さん、お父さん」
「あぁ、おめでとう」
「はい、お年玉」
「ありがとう」
「無駄遣いしないようにね」
「わかってるよ」
お母さんからお年玉を貰った時、ケータイが鳴った。
中を開くと黒木先輩からメールが来ていた。
『明けましておめでとう、実梨。
今から初詣に行かない?』
初詣…。
『いいですね。
行きましょう!』
ピピッと返事を書いて送信する。
先輩と初めての初詣か〜。
楽しみだな〜。
わくわくしていると、先輩から返事が戻ってきた。
『じゃぁ今から実梨の家へ向かいに行くから待ってて』
「え!向かえに!?」
どうしよ!
急いで準備しないと!
『わかりました。
待ってます』
一応返事を出してから準備を始めた。
先輩を外で待って3分。
「実梨!」
「先輩!」
「ごめん、まさかずっと待ってた?」
「いえ、少しだけです。
大丈夫ですよ」
「そっか、良かった…」
両手をキュッと握られる。
「ねぇ実梨…」
「何ですか?」
「その…そろそろ敬語やめない?」
「え…でも先輩は先輩ですし…」
「いいよ。
だって実梨は彼女なんだから」
「そ、そうですね…」
「あと、愁って呼んで…?」
「……っ!」
ヤバイ、先輩の言葉に赤くなる!
「ねぇ、呼んで…」
「…し、愁…?」
「…良くできました」
愛しそうに微笑んで頭を撫でる。
それがなんだかくすぐったくて目を閉じた。
『愁…』
初めて先輩の下の名前を言う。
「さ、行こっか」
「うん…」