「え、また二人!?」
命令を出した木下さん本人もびっくり。
まぁそりゃぁそうだよね…。
私もびっくりだし…。
「二人って相性がいいのかな?
それとも、運命だったりして!」
きゃー!と何故か興奮する田口さん。
何でそんな興奮してるんだろ…。
「まぁ、これも何かの縁ってことで、はい!
ポッキー!」
にこやかに笑う木下さんにピンクのイチゴ味ポッキーを渡される。
「えっ、ちょっ…!?」
「ほら、早くしないと次に進めないよ?」
…木下さん、全体面白がってるよね…?
「あ、あの…」
ポッキーを渡されていざするとなると本気で緊張する…。
かあぁぁっ!
と顔が赤くなるのを感じた。
すると
「桜井、それ貸して」
と紀田くんが手を伸ばして私の手からポッキーを取った。
一瞬だけ手が触れ合う。
「…っ!」
「…桜井、途中でちゃんと折るから…」
余裕そうに笑ってる紀田くんは少しだけ汗をかいていた。
きっと紀田くんも隠してはいるけど、緊張してるんだ…。
「…しょうがないよね、罰ゲームなんだし…」
「…いくぞ?」
「うん…」
ポッキーを食えた真剣そうな紀田くんに、肩を捕まれて覚悟を決める。
先輩…ごめんなさい…。
ポッキーを加える瞬間、チラッと黒木先輩を見た。
先輩…。
「…おい待て…。
さすがにこれは許さねぇぞ…?」
…何か先輩から黒いオーラが出てる…。
「や、まぁこれもゲームだし、どうせ途中で折れるよ!
な、黒木!」
「…ざけんなよ?」
「く、黒木、待て、落ち着け!
佐藤、村上!」
「「お、おう」」
席を立とうとする先輩を木下さんたちが3人がかりで止める。
「先輩…」
「…桜井…」
先輩たちを見ていると、いきなりグイッとほほに手を置かれ、紀田くんの方に向きなおされてしまった。
「紀田く……っ!?」
突然のことだった。
唇に、柔らかい感触がした。
「ん…」
何が、起こってるの…?



